Fête des vignerons-ブドウ栽培者の祭りのステージの最後を飾ったのは牛飼いと牛たちです。Veveyの湖畔からの斜面にはブドウ畑、その上方にかけては牧畜地帯が広がっています。このVaud州の東端から北方、お隣のFribourg州南部のGruyère(グリュイエール)にかけての山がちのところの牛飼いはArmailli(アルマイイ)と呼ばれています。
Fête des vigneronsではブドウ栽培者に加えて、チーズを作る牛飼いの仕事ぶりもたたえられています。第1回の1797年以来、ステージの最後で歌われるのがRanz des vaches(山岳地方の牛追い歌、vacheは牛)、別名Lyobaです。
この歌の作曲は1710年にこの地方ではなくBaselでですが、ブドウ畑での作業、そしてAlpageー山での牛の飼育に携わるArmailliの仕事ぶりを歌っています。
LyobaことRanz des Vachesは1767年にJean-Jacques Rousseau(哲学者としても有名なあのルソー)が「ヨーロッパ音楽辞典」でこの歌について長々と言及して以来有名になったそうです。祭りでは誰がどんな風に歌うかが話題になるそうで、今回は選ばれた11人が歌ってました。
Lyobaは一度聞くと耳に残る旋律で、最初はソロ、次のコーラス部分では観客の多くが一緒に歌ってました!どんなにポップで斬新な演出でも、最後に一番盛り上がったのがこの昔ながらの衣装の歌い手と牛!牛さん、歌の間はおとなしく聞いてるんですよね。その後に多量の落とし物を残していって。
以前のTour de Gourzeのハイキングで書いたように、湖に面した斜面のブドウ畑を登り切った先には牛地帯が広がっています。峠を越えればGruyère地方まで行けます。山で隔てられているようにも見えますが、峠で結ばれています。
湖と山の向こうの間には行き来があり、葡萄酒と乳製品のやり取りもあり、かなり違う暮らしぶりだけど一体感もあったんだな、と、この祭りで知りました。このVeveyからGruyèreとを結ぶ道については近い将来にでも書きたいです。
会場の一角にはFribourg(フリブール)コーナーが設けられてました。歌「Lyoba」にかけて「Lyo’Bar」・・・
1955年祭り時のLyoba(RTSスイスフランス語放送の公式アーカイブから)
1977年祭り時のLyoba(RTSスイスフランス語放送の公式アーカイブから)
2019年11人の歌い手の選考 La plus belle voix des armaillisー牛飼いで一番の歌い手#1(RTSの番組Mise au pointの公式)。100人余り→19人→11人に絞られる過程のドキュメント。
ちなみにArmailliの皆さんが下げてるポシェットには牛にあげる塩が入ってます。
過去の記事:レマン湖一の見晴らし台 Tour de Gourzeへのハイキング(全3回の一回目)
Armailliが活躍するVaudからFribourgの一部で見られるTavillonnageという木片で葺く屋根の家がみえるところを歩く