Bergün(ドイツ語)/Bravuogn(ロマンシュ語)からPradaの駅まで歩きます。Bergünには駅と隣接して(もしかしたら駅そのものか)レーティッシュ鉄道博物館があります。鉄道模型やジオラマがあり、私がおぉっと思ったのはこの先の地形と線路の立体地図。あのぐるぐるループが山の地形に対しいかに合理的に設計されたのがわかるような、やっぱりわからないような・・・上の写真では光ってる白い線が線路です。ぐるぐる。
BergünはFilisurやTiefencastelと比べると町の歴史は浅いようで書物にその名が登場するのが1209年。前回チラッと紹介した岩城Greifensteinに付随する集落としてでした。ビックリしたのがBergünの人口、1571年542人、ずっと変わらず1888年625人、鉄道建設が盛んだった1900年に1537人、2000年に520人。
鉄道建設で人が集まってきた時には、既に保養地として華やいでいたSt.Moritzのように発展するかも、と瀟洒な温泉施設も作られたのですが(Predaの駅近くの一軒宿ホテルで今もある)、鉄道完成とともに人は去り、、、そのお陰で静かな昔の雰囲気が保たれている、との評もあり。ここからひと山超えた先がEngadin地方となりますが、Bergünにも美しいEngadin形式の家々が見られます。街中にはホテルやレストランはもちろん、スーパーのSPARとVolgがあります。駅には観光案内所、カフェ、トイレあり。
今日も33番のVia Albula / Bernina道を行きます。鉄路は駅から東側の斜面で早くもループやクルクルを展開していますが、33番のハイキング道は駅から街中を抜けると南に進んでいるので、鉄路は遠くに見えます。チラッと見せて期待をあおり、お楽しみは一気に後半に!
33番の道(赤丸付き緑線)からは離れますが、しっかりとしたハイキング路がこの駅近くの最初のクルクル地帯を歩けるようになっています。Pros da Darlux(1974m)までリフトで行ってレストランでお茶しながら上から眺めるのも楽しそう。ロープウェーは真っすぐな赤い線で表されています。
Bergün-Prada区間はファミリーハイキングにピッタリとあり、実際歩行時間は2時間で手軽なのですが1376mから1789mと400mの高低差があり、岩の上(平らになっている岩だけどそれはそれで濡れていたら滑る)も歩くのでそれなりの靴の方が安全です。さて、線路のループや8の字形状は何のため?直線的に進むと勾配がきつすぎて上れないような斜面でも、遠回りして長い距離を走ることで緩い斜度ながら最終的には同じ高度まで上がれます。狭い面積でより長い走行距離を確保するためのループであり8の字らせんなのです。
BergünとPradaの間は6㎞離れていますが、線路の総延長は12㎞、標高の差は400m。でも、またしても疑問。もっと急な勾配を直線的に上っていく列車っていくらでもあるのでは?
1904年に完成したThusisとSt.Moritz間を結ぶAlbula線は当初蒸気機関が走っていました。物資輸送が目的なので重量物が運べてかつ速さも必要、とラック式ではない標準軌、Landwasser Viaduktなどが有名な高架橋はすごーく頑丈に作られてます。
パワーに劣る蒸気機関車が重い荷物を載せて走るために斜度は3.5%以下(約1:29)にすべし、というわけでループ。Albula鉄道の機関車が計400トンの車両を引くことが出来るのに対し、マッターホルン・ゴッタルド鉄道がOberalp峠を越せる最大重量は(たったの)135トン!
この辺りの事情は完成が1910年で最初から電化されていて、山岳観光に主眼を置いていたSt.Moritz-Tirano間のBernina線とは異なります。
今日の写真、画面の遠くや隅っこに、こんなところに、というとろに高架橋や線路や道路や列車が小さく映ってます。歩きながらもなんでそっちにいつの間に?と線路があっちに、こっちに、くるくると見え隠れしている中を歩いていました。
中央右より奥に高架橋が見えてる所に一つ目の線路、その手前にもう一本ほぼ平行に線路があります。ループが重なって二重になっているのを見ているところ。もしかしたら3番目の線路もあったのかな。
BergünとFilisur周辺の観光局のサイト
https://berguen-filisur.graubuenden.ch/en
BergünのAlbula線博物館(ドイツ語のみ)
https://berguen-filisur.graubuenden.ch/de/berguen-filisur-bahndorf
歩行、写真は2013年10月中旬、地図は