Pâques、Ostern、またの名は復活祭

先週末は復活祭の休みでした。Pâques（仏）、Ostern（独）は英語ではイースター。キリストが十字架にかけられて亡くなったのがVendredi Saint：聖金曜日（今年は3月30日に相当）。三日目の日曜日に墓が空だー生き返った～だから「復活祭」です。

クリスマスはキリストの誕生日祝い。今では中東と呼ばれる地域でその後教祖と呼ばれる人が生まれた。生まれた際にまつわるあれやこれやはともかく、生まれたことについてはそれほどの異論はないと思います。

一方、一旦死んだ人がよみがえる、これを受け入れるかどうかで信仰が問われるので、復活祭はクリスチャンにとってクリスマスより重要ともいえる行事です。

イースターの飾り

さて聖金曜日はプロテスタントにとっては重要ですが、カトリックはそれほどでも無かったりします。今からおよそ500年前、教会権力が天国に行くにはコレ！と「免罪符」を民衆に売りつけていたのに文句をつけたのがルター、プロテスタント一派の始まりです。キリストは人々の罪をすべて背負って十字架上で死んだのだから、民衆の罪は既に償われている。よって免罪符は偽善だ！資金源を否定されたら、そりゃ大喧嘩になるわな。

聖金曜日のミサで歌われる曲では「十字架にかけられるその時までキリストは従順な神の羊だった」「キリストの血」「十字架」「贖罪」などの歌詞が満載。パイプオルガンが奏でるのも、怪獣映画かホラー映画に使えそうなおどろおどろしいものだったりします。曲名は「磔」・・・こ、怖い・・・（私が遭遇したのがたまたま過激な選曲だったと思いたい）

スイスでは州によって祝日・休日が異なると以前書きましたが、たとえばVallais／Wallis州はカトリックが優勢な州で、聖金曜日は祝日＝休みとなりません。フランスもカトリック国なので休みじゃないです。祭日となるのはPâquesの翌日の月曜、lundi de Pâquesのみ。

フリブール州のRomontは、聖金曜日に女性たちが黒衣をまとい無言で行進する「Pleureuses　泣き女」が知られています。

上記はRTS (Radio Télévision Suisse) のニュース映像（1分44秒）、2004年と古いですが。

さて一方のカトリックはキリストが生き返ったことを重視します。日曜日の朝バチカンではローマ法王が広場に集まった信徒たちに語り掛け、講話内容はスイスでも大概トップニュースで伝えられます。

復活祭と卵の関係については諸説あります。殻を割って生命体が出てくるのが墓から出てくる復活に似ているとか、卵自体が生命のシンボルであることが起源のようです。春先に仔を沢山生むウサギもまた生命や豊穣の象徴とされています。国や地域により色々ですね。

中央の卵は葉を貼り付けて紅茶で煮て着色。葉の跡が残る。上の袋に入ってるのは卵の形のチョコ。

イースターのお菓子もまた様々です。スイスではウサギや卵型のチョコが店先に大量に並びます。スイスにはまた、イタリアを始めとする様々な国を起源とする人が大勢いますので、彼らとともに食べ物もまた多様化しました。羊やハトやウサギの形など、宗教的意味合いや習慣があってこそ食べるけど、特別に美味しくはないものも多いので、これらが日本でも近年売られるようになったと知り、正直意外でした。バレンタインが定着したのにはチョコレートが珍しくて美味しかったことも影響しているのではないでしょうか。世界のパティシエの豪華チョコが特設売り場に並ぶようになってからは自分へご褒美チョコを送る日へと変化発展もしたけど。日本でのイースターはこの先どうなるのかわかりませんが、日本にはもっと美味しいものが沢山あるのだから無理にイベントを煽らなくてもなあ、と個人的には思います。

スイスでも復活祭期間を宗教的に過ごす人は限定的だと思います。毎年復活祭の4日間には、Montreux（モントルー）でPOLYMANGAというイベントが開かれ、モントルーに向かう電車やバスにはコスプレした嬉しそうな人たちを見かけます。以前は日本の漫画やポップカルチャーの祭典でしたが今では「日本」にはこだわってないそうです。日本文化が普遍化したということで、それはそれで嬉しいです。

年末年始以来の久々の連休だし春だし、、、でも今年はまだまだ寒いな！