スイスのパン(7)Four banal 共用パン焼き窯

スイスの生活
Montheyから1時間ちょっと Petit Closのパン焼き窯 Choexに含まれるのかな

Montheyから1時間ちょっと Petit Closのパン焼き窯 Choexに含まれるのかな

村や町を通る際、時折「Four banal」と書かれた小さな建物に出会うことがあります。表題ではFour banalを「共用パン焼き窯」と書きましたが、Banalとは封建時代に遡る名称です。当時、住民が個人で、自分の家でパンを焼くのは禁止されていました。パン焼き窯は住民が領主から賜ったものであり、その使用は領主に許可されたものでありました。

パン焼き窯からPetit Closの教会 横にトイレあり!

一つには、家々が密集した集落で火事が起こるのを防ぐためであり、パン職人や専門職人しか使えなかった地域も多かったそうです。また領主の権限を示すものであり、住民は使用に当たって領主にBanを支払い、ここからFour banalと呼ばれるようになりました。

Vens (Sembrancher)

パン焼き窯の他にはpressoir(葡萄酒製造のためにブドウを絞る機器)、 moulin(粉ひき用の水車)なども、領主が管理する特権でもあり、またその設置や保守は住民の生活のため、領主に課された義務でもありました。

Vens (Sembrancher)

フランスではフランス革命以降この制度は廃止され、スイスでもおそらく徐々に個人で自由にパンが焼けるようになったのでしょうが、Valais(ヴァレー)州の特に山間の村落では今でもFour banalが現役で、自治体や地域の古参住民によって定期的にパン焼き会が行われています。

Vens (Sembrancher)なるほど家が密集しているので火事になったら大変

実際、思い返すとValaisを歩くとそれなりの確率でFour banalに遭遇します。Valais以外でも、何回か前に写真を載せたVaud州のMoiryなどでも残っていますがValaisで目立ちます。

Cheminのパン焼き窯は街の中心にありました

祭りやパン焼き会の際には参加者それぞれが自分のパンを成形して釜に入れますが、焼きあがってどれが自分が成形したパンか分かるように、パンの表面に模様を彫ったりするそうで、なるほど。皆で食べ物をつくって食べるのは楽しいし、パンがこの地に暮らす人たちの基本だったのだと思わせます。

Cheminのパン焼き窯

フランスでもスイスでもある程度の規模の町では独立したパン屋があったのでしょうが、小さな集落だと「共同パン窯」方式となったのかと思います。毎日焼きたてのパンが簡単に手に入るようになった今、少しでも古くて硬くなったパンは捨ててしまったり、余ったパンの再利用料理の記事が出るなど、昔を思えば嘆かわしい!わけですが。

Marecottes パン焼くときに使う薪が積みあがってます

しかし同時に以前は町内に何軒もあったパン屋が遠くの大型スーパーマーケットのパン屋に取って代わられた場所も多いです。大型スーパーでも焼きたてだし、種類は豊富で安定の味なのでこちらが好まれるのも無理はないですが、遠距離になる場合は車の無い年配者には大変だったりします。どこも同じか・・・

Vaud州のMoiry。建物の一部に窯があるそうです

Valais州で現役のパン焼き窯の一部、各自自体のHPから活動時期のお知らせなど:

Val d’Anniviers

Four banal
Le four banal était utilisé par les Anniviards pour cuire le pain de seigle, trois fois par an, en juin, septembre et dé...

Saint-Bernard

Fours banals - Au Pays du St-Bernard - Valais-Suisse
A l’époque, chaque village possédait son four à pains. Le seigle et le froment poussaient en abondance fournissant la ma...

Mieville

Four banal de Miéville
Le four banal de Miéville, dont l’origine remonterait vers 1680, a été restauré en 1773 puis à la fin des années 1980.

Verbier

Four banal et ateliers des terroirs - Vollèges
Le four banal date de 1905.

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