スイスにおける死と葬式と墓(12)Cimetiere de Montoie

前回のCimetiere des Bois de Vaudの200m離れた東側に、緑の谷を挟んで緩やかな斜面に広がっているのがCimetiere de Montoie。

Bois de Vaudが直線の通路で区切られていたのに対し、こちらは曲線の通路。二つの墓は共に、南側に対し傾斜している斜面上にあります。Lausanneの街自体が湖からの斜面に形成されているというのは、去年の連載でお伝えしました。

こちらが2つの墓の間にある谷。谷を遡って歩き、Lausanneを大きく一周するハイキングコースもあります。

Bois de Vaudに次いで2番目に広く、1972年と比較的新しく整備されました。といっても元々墓地だったのが使われなくなっていたのを再整備。以前から植えられていた木をそのまま残しているので木が大きい!

大木の合間に墓石が並んでます。

Bois de Vaudと異なり植え込みで区切られていないのも特徴です。

地図でも分かりますが斜面上にあるので斜面上に平面をつくるための「壁」はあります。そして壁には正方形の「棚」が並んでいて、骨壺が納められています。

反対側から見た、曲線的な「壁」

芝生に垂直に建てられた墓石のある一角と、芝生に石板が載せられた一角があります。

このタイプなら手入れがとても楽。墓碑垂直タイプにしろ平面の板にしても、亡くなった順(葬られる順)に順々に並んでいます。宗教、国籍などの区別なく順に葬られる形式(Tombe à la ligne)の墓で、事前に場所を指定することは出来ません。誰が隣に来るかはサプライズ。

Montoieに1869年に火葬所がつくられ、墓地として再整備されて以降は遺灰の埋葬がメインの墓地らしいです。土葬希望ならスペースに余裕のある隣のBois-de-Vaud墓地へ。

遺灰をおさめるだけなら土葬に比べてずっとスペースが少なくて済みますが、それでも少しスペースに余裕がある区画と、そうじゃない区画がありました。料金に差があるのでしょう。

ヨーロッパの教会と言うと十字架が並ぶイメージがありましたが、ここは石の墓碑が多いですね。一節によるとカトリックは十字架が多いとか。基本、Vaud州はプロテスタントだったからなあ。

そして、順に葬られる形式(Tombe à la ligne)の墓区画ではない、少しスペースに余裕がある墓の並び形式の区画では、時折芝生でなく土が露出している場所がありました。10年や25年などの契約期間が終わると(更新しないと)本当に掘り返して更地になり次の人が入ります。

墓地には18世紀後半から20世紀初めにかけての政治家や実業家が葬られています。当時の成功した実業家は巨額の寄付をして街の発展や市民のために尽くしたんですね。以前墓地だった時から継続して残っている墓石となると、著名人、特にローザンヌ市に多大な貢献をした方々が多いです。その一人が、

銀行家Charles Bessieres(1826~1901)はPont Bessieres(1910年)で知られています。大聖堂の下にある橋、地下鉄駅名にもなってます。谷の多いLausanneでは移動するのに橋は重要。ありがとう!橋の他にLausanneやVaud州にかけて、病院、孤児院、奨学金、小さい所では教会と大聖堂のパイプオルガン・・・

左側に見えるのが個人ではなく共同で祀られている場所Jardin des souvenirs。常にどなたかが花を飾ってくれるからいいかも。次回は費用について少し触れて、墓地シリーズ最終回。

写真は2025年3月後半

ローザンヌ市の公式サイトからMontoie墓地の心得:

https://www.lausanne.ch/vie-pratique/prestations-funeraires/inhumations/cimetiere-de-montoie.html

https://www.lausanne.ch/vie-pratique/nature/parc-promenades/cimetieres/cimetiere-de-montoie.html

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