久々のロングトレイルは全長210㎞。Via Francigena(ヴィア フランシジェナ)は別名Frankenstrasse(フランケンストラーセ)、Frankenweg(フランケンウェグ)、巡礼者がフランク王国を通ってローマへ向かうための巡礼道。フランス内をローマに向かう道はローマ帝国時からの軍事道路であるVia Aurelir、Via Emilia、Via Cassia等々あり、巡礼者だけでなく商人、はたまた十字軍の参加者たちが利用していました。イギリスのカンタベリー大司教はローマ法王に会いにドーバー海峡を越えローマまで行き、990年に無事イギリスに戻ったのち復路について詳細な旅日記を書きました。Via Francigenaはこの記録をもとにしており、多くの巡礼者を引き付けていましたが、18世紀には忘れられた存在でした。ところが、1990年代になりサンチアゴ・デ・コンポステラ(スペインの聖堂までの巡礼路)など、一般人が聖地まで歩くブームがおこり(日本でも四国八十八か所巡りがありますよね)、イタリア政府観光局の肝入りでヨーロッパにまたがる「歴史道」の整備が進んだわけです。
カンタベリー大司教が歩いた時から優に1000年以上が経ち、当然当時の道と全く同じ、というわけにはいきません。またVia Francigenaはただ一つの道があると言うわけではなく、開けた地形部分ではどこを通るか自由度が高いです。が、地形の制約のため、ここを通るしかない、という部分もまたあるわけで、1000年以上前もここ通ったんだろうな、という古道部分もあります。「街道をゆく」的な観光目的で、古今東西のヨーロッパの有名人も多く歩いています。私が歩いたスイス内の場合、近年になって整備され、うまく「見どころ」を経由するようにつなげてくれてます。
Via Francigenaのスイス部分の特徴としては、公共交通機関に恵まれていることで、私は最後の部分、イタリアとの国境サン・ベルナール峠までの最終区間以外は日帰りで細切れで歩いています(スイス西部に住んでいるので)。上の地図で青の印が公共交通機関の駅や停留所。
概略としてはフランスとの国境部分、標高1000m超の山地から平地に下り、そこからは畑作地帯を歩きます。小さいけれど古い町並みが残っている町、村を結んで歩き、レマン湖畔のLausanne(ローザンヌ)。
ここから湖畔をLavaux(ラヴォー)の湖からの斜面に広がるブドウ畑の中を歩き湖の端へ。ここからしばらくローヌ川とその流域を歩くとValais州に入ります。
St-Mauriceでは小さいけれど1500年以上継続して活動している修道院。巡礼路なのでそうした教会建物が出てきます。その先にはローマ帝国時代の屋外劇場などの遺跡が残る(小さいがな)Martigny(マルティニー)。ここからは山間の道に入り、前述のSt-Bernard峠(セントバーナードといえば犬でも有名)の標高は2469m。現在は地下をトンネルが通っていて、トンネル経由ならば年中通行可能ですが、峠経由のバスは夏から秋限定です。
長いので途中時事ネタや寄り道散歩も入りますが、お付き合いのほどよろしくお願いします。
https://www.schweizmobil.ch/en/wanderland/routes/route-070.html
おなじみのSchweizmobil、スイスの公式ハイキングサイト内で、Web地図等々につながっています。
https://viastoria.ch/kulturwege-schweiz/viafrancigena/
Via Storia、ヨーロッパ内で昔から歩かれてきた「歴史的な道」を再び見直そうという取り込み。南北ヨーロッパの「通り道」だったスイスには当然沢山の「歴史道」があります。国を縦断・横断するものから地方の一部を通るものまで多数。その中からVia Francigena
https://www.viefrancigene.org/en/
スイスだけでなく、イギリス、フランス、スイス、イタリア内のコース地図、情報、無料アプリなどのダウンロードができます。
https://saint-bernard.ch/en/activites/hikes-and-cabins/via-francigena
スイス部分の終着地、St-Bernard地方の観光サイト