前回からの続きです。地図上、右上にあるTamangur Dadaint、Alp Astrasの十字路から西(左)側の道を歩きましたが、ここを東側の道を行くと、地図外ですが後述するPass da Costainasの三差路に到達します。このCostainas峠は重要な峠で、S-charlからVal Mustairへはこちらの峠を経由するルートもよく歩かれていたようです。
本日の目的地の峠は地図左下のPass dal Fuorn/Ofen Pass(ロマンシュ/ドイツ語)。峠の名は金属を精錬するための炉(英語だとOven)から来ています。ハイキング道の近くにもレンガで出来た炉の跡があるそうですが、私は未見。
新石器時代から使われてきた峠はZernezとVal Mustairをつなぐ道の上にあり、この道は現在はバスが国立公園を横切って走っています。
現在はバスも走るこの道は、Via Claudia Augusta(前々回のGlurnsをも通っている、北イタリアと南ドイツを結ぶローマ帝国時代からの道)とグラウビュンデン各地の峠を結んでいます。
中世になると、エンガーディンとVinschgau(MalsとMeranの間の谷)の往来はさらに増えましたが、S-charlからVal Mustairへ行くには、このFuorn峠経由よりPass da Costainasを経由してLuからSta Mariaに着くルートのほうが好まれていたようです。
いずれにせよ、私が今回歩いている道は、昔から人が歩いてきた道です。
さて精錬炉。S-charlもそうですが、Ofen PassとMunt Baffaro一帯で鉱石が採掘されたんですね。
そして炉を炊くには大量の薪が必要。峠の周りの森林が大規模に伐採され、現在でも荒れ地が広がってるそうですが、私が歩いた広範囲にわたって木が生えてない箇所もそれが理由だろうか。
Funtana da S-charl近くの三差路を右に進み、Munt da la Beschaの山を左手に、Val(谷)bellaを右手に見ながら歩く道ですが、ここ、砂地をズリズリ滑りそうで怖かった。
本当はそれほど怖くないのかもしれないけど、私は何故かこの手の道が苦手。私はちゃんとした登山靴を履いてたし、峠まで車で来たらしい家族連れが軽装で歩いてくるのでそれほど危険ではないとは思うのだけど。
このコース、出だしのS-charlが既に標高1800mで、そこから2100m超までゆったりと上った後は、最後まで上り下りの苦労を感じることなく歩ける、体力的にはそんなに辛くないコースです(目安は4時間半とある)。
しかし、この荒れ地を通る箇所だけは、怖かったことを鮮烈に憶えていて、8年経ってこの文章書くために調べて荒れ地の理由がわかって(推測ですが)すっきりしたわ!今はここで色々と偉そうに書いてますが8年前は何も知らずに歩いていました。
私はMunt da la Beschaの山の北側を通って荒地でしたが、山の南側を廻る道をとれば、緑地の中を歩けるんじゃないかな、と思います(未確認)。
高度をほとんど下げずにもうすぐ峠。
バス停前。この上から降りてきた
16:35 Pass dal Fuorn(2149m)に到着。写真撮ってないけど峠のあるバス道から南側の景色も雄大です。峠にはホテル&レストランとバス停があり、車やバイクで来た人たちで賑わってました。
歩行・写真 2012年9月