Léman Expressレマン・エクスプレス(LEX)の要となるのが新設(延長)された鉄道CEVA(Cornavin-Eaux-Vives-Annemasse)。ジュネーブ中央駅(Cornavin)とフランスの町Annemasseを結びます。16㎞のうち14㎞がスイス内、街のど真ん中を通るので、今回延伸された部分のほとんどで地下を走ります。
通勤用路線なので平日は朝5時から24時まで、ピーク時には10分に1本の運行。これって重量車両が多数連結されてるけど運行間隔は長いことの多いスイスの鉄道では例外的な本数なんですよ。ほとんど路面電車感覚だけどそれなりのスピード出してます。
LEX運用にあたりフランス(SNCF)とスイス(CFF)との間では、使用言語は同じなものの克服すべき相違点は山積みでした。ユーロとスイスフランの2つの通貨、鉄道関係者の労働条件、規則、運賃システム(距離とゾーン制)、安全システム、電圧、使用車両・・・ありがたいことにレール幅は同じでしたが、とにかく複雑なシステムで動いてるそうです。
この鉄道はフランスからの越境移動に加えてスイス内での車移動の削減をも目指しています。LEX運行により、現在車で移動しているこの地域55万人のうち16%が公共交通機関を利用することが期待され、とりあえずは1日に5万人の利用を見込んでいます。
開業から3日目の12月17日にさっそく乗りに行ってきました!しかし、日本でも報道されているようにフランスでは全国的なストライキの真っ最中。
途中からバス振り替え輸送になるとか色々な報道がありました。結局この日はAnnemasse(仏)への直通列車は半分に減らされ、半分はスイス内の最後の駅Chêne-Bourgまでしか行かないという状況。
それでもLausanneから乗った列車(そのずっと手前のSt-Mauriceが始発駅)にフランスの駅名「Annemasse」を見たときは軽い衝撃を受けました(実際は行き先表示より手前で折り返し)。Lausanneから乗ってGenève駅での乗り換えなしで何事もなかったように新設路線の上を進んでいくのは不思議な感覚。
私は一つ目のGottardo鉄道トンネルを設計したLouis Favreの銅像と生家を見に行くというマニアックな目的のためChêne Bourgで降りましたが、それはまた後で書きますね。
Chêne-BourgからCEVAの新しい駅Eaux-Vivesまで歩いて見に行った時のが前回の写真。今回の写真は2013年の9月のCEVAの工事現場の一般公開時のものですが、あの時の大工事現場が端正な駅に変わっている!
駅の中も軽食や買い物ができる店でいっぱいでしたが、こんなに立派な駅なのに、予算ケチってトイレなし(食事処にはありそうですが)!これは開業前に新聞ネタになりました。列車内にはトイレがあるけどそれでもねー
ジュネーブ駅やEaux-Vives駅から直接フランスのちょっとした保養地Evians-les-BainsやAnnecyに行く列車もあるようです。頭の中にある鉄道乗り換え地図が随分と変わりますね。
フランスのストライキですが、LEXは複数のストライキの影響を受けています(12月21日現在)。
年金改革法に反対する全国的な規模でのスト。SNCF(フランス国鉄)を含む交通機関の他に学校なども休校になってるそうです。これは日本でも報道されてますね。
更にびっくりなのはLEX運用に当たり、フランスの他の地域からAnnemasse管轄地域に142人のSNCF関係者が転属配置された。Annemasseを始めとするジュネーブ周辺のフランス領域ではジュネーブの影響で物価が高い。だからそれまでの賃金では暮らしていけないので400ユーロの給料上乗せを要求するAnnemasse地域限定のSNCF鉄道員のストライキ・・・スイスではストに慣れてないからな~
12月20日現在、フランスの鉄道ストは継続中。今現在フランスに旅行に来て苦労している方も多いと思いますが、ついにクリスマス休暇に突入。日本のお盆と年末にJRがストライキを打って新幹線の本数が半分に減っていると想像してみてください・・・
写真は2013年9月15日、週末の2日間にあったCEVAの工事現場の一般公開