Landsgemeinde(3)良い点ばかりでもないけれど

10時前から14時近くまでずっと立っていて、では帰りましょうという方々

最大の問題点:有権者(年齢に関していえば、なんと16歳以上!)すべての出席は不可能です。Glarus州の人口4万人強のうち選挙権が無い外国籍がそれ相当の割合いるとしても、超快晴で最も参加者多かったのではと言われるこの日でも5000人いたかどうか、と一緒に居たGlarus出身者は言ってました。(実際はどうなんだろう。きっとどこかで参加人数が公表されてるはずだけどね)もっとずっと少ない参加者の年も多いそうです。参加するには体力が必要だから高齢者には厳しいという話を聞いたとき、なるほど当日会場にたどり着くことのできた勇者のみで決めるのか、州の未来を若者に託すというのはそれはそれでいいのかも、と思ったのですよ。ところが前日泊ったホテルの経営者が、Landsgemeindeなんて一度も参加したことないわ!ホテル業の前は看護師で、これまた日曜休めなかった。自分の意見が全然言えないのに税金だけは取るんだから!!!と怒ってたのです。

スピーカーが何ヵ所かあり、音声はよく聞き取れました。ただドイツ語が分からないのが問題だ。

スイスでは日本に比べるとずっと皆が日曜日に休みます。それでも交通機関に関わる人やレストラン等のサービス業など、日曜日にも働いている人がいるのも事実です。スイスの他の選挙では当日の投票所だけでなく事前の郵送による投票の方がずっと一般的だったりします。日曜日には他の用事をしたい!海外から電子投票が出来る時代ではあるけれど、顔を見せて議論して決めることに意義があるLandsgemeindeで事前投票が採用される可能性は低いでしょう。

Glarus駅

投票に出席できない人の意見は(なかなか)聞いてもらえないというのは直接民主制を謳う国民投票の一面でもあります。スイスで女性が投票できるようになったのはなんと1971年!全てを国民投票で決めるということは、それまで選挙権を独占していた男性に、女性にもその権利を分けるよう認めさせなければならなかった、ということです!!!既得権益を放したくない男どもにJa!と言わせる為の長い闘いの歴史・・・

自分の住むところの政治に関心があって、かつ体力的に可能でも、貴重な日曜日の半日を費やすかどうかは人それぞれで、それゆえの参加人数は数千人程度に留まるのが常なのだそうです。問題は色々あれど、自分が投じた票が見えない所で処理されるのではなく、目の前で議論が繰り広げられ、目に見える形で決まるというのは何事にも代えがたい、とGlarusの多くの人は言います。若者の投票率はスイスにおいても概して低いのですが、Landsgemeindeでは多くの若者が参加していて、しかもちゃんと聞いているのが印象的でした。

Ringの両端の外に設けられた見学者用ゾーン。長方形で、傾斜がついていてRingの様子が窺えるようになっているけど、私は背が低い。

ゾーンの外に見学者ゾーンがあり、ここにも中学生らしき姿を見かけました。本来ならば、自分の払った税金がどう使われるのか、自分の将来の生活に直接かかわる道路整備やスポーツ施設の改築案に無関心ではいられないはず。自分が困るんだから。Glarusでは16歳以上から選挙権がある多分、唯一の州です。選挙権を18歳から16歳に早めようという案も、また市民の側から提案されて可決されて今に至るのだそうです。

Landsgemeindeのアーカイブ:1956年から年ごとの議題と音声記録!

https://www.landsgemeinde.gl.ch/archiv

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