ルガーノとルツェルン、この二つの旅の後、一人で歩き始めるまでには5か月くらいかかった。住んでたジュネーブの街のど真ん中からでもハイキング路は延びていたのに、ハイキングと言ったら郊外、それなりに遠くの山まで行かなければならない、と思い込んでたのだ。
たまたま、ジュネーブにほど近いNyon(ニヨン)から「第二次大戦中に作られた対戦車用のコンクリート障害物にほぼ沿って歩く道-Chemin de Toblerone」のパンフレットを観光案内所で手にしたので、紅葉の頃に行ってみた。Tobleroneと言ったら空港の免税店で売ってる、細長いチョコレートです。形が似ているので。
なんと、駅前からパンフレットの地図に描いてあるとおりに正確に、黄色の表示が次々と現れて私を誘導してくれた。控えめだけどしっかりと要所要所についているあの黄色の菱形印。森の中の道にもついていた!案内表示に導かれて歩く楽しさを知ってしまった!それから、一人でせっせと歩く週末が始まった。
次にロングトレイル。知らずに買ったハイキングガイド本がそれだったのだ。最初に歩き始めたロングトレイル「Via Gottardo」、出発はバーゼル。バーゼルはスイス、フランス、ドイツの三つの国境が交わる街で、水路、鉄路、道路の交通の要所。美しい旧市街からほどなくして、ハイキング表示のある道は工業地帯の中に入り、貨物列車が居並ぶ鉄道線路を見下ろすことになる。こんなところを歩かせるのもアリなんだ・・・自然の中を歩かせるだけじゃないんだ。
スイスを縦断する交通の要所を歩くということは、昔から人が住んでたところ、歩いていたところを歩くということ。鉄道を眺めながら歩くことも多く、遺跡の横も通るのであった。面白いわ!鉄道を眺めながら歩く道は他にも沢山ある。疲れたら、少し歩いていつでも駅から帰れるという安心感も大いに気にいった。