5月22日(土)テレビでEurovision Song Contestを観る。初めて見たのは2019年、旅先のホテルのテレビでだったのでほぼ初心者な私。うちにはテレビがないのでそれまでは興味がなかったのだが、去年よりインターネットでテレビを見るクセがつき、今年はスイスから出場するのがフランス語圏の歌手で有望だというので前宣伝も結構ある中での観戦。
面白かった。会場はオランダの港町、アリーナの名もRotterdam Ahoy。アホイ!って船乗り用語だよね。びっくりなことに、例年よりは少ないとはいえマスクなしの観客を、しかも大勢いれてる。そこまで進んでいるのか。ちなみに去年はEurovision史上初めての中止だった。
少なくとも2億人以上がテレビの生中継を見るという、最大規模の音楽中継番組。Euroといいつつ出場国はヨーロッパから遠く離れたところにも及びオーストラリアも割と常連。各国から1組が参加、年齢も経歴も不問、しかも何回でも出場可能。どの国から出るかは自由なところは国籍問題が絡むオリンピックとは違う。大体今のヨーロッパでは国籍とルーツと住んでるところは関係ないし、なんと住んでなくとも、祖先がその国にいなくてもOKなのは、昔スイス枠でセリーヌ・ディオンを出して優勝した(1988年で今ほどのスターではなかったが)ことからもわかる。関係ない国でもリクルートして出場させるのも大いに可なのだ。
出場者が代表する国とそれほど関係性がなくとも、皆々それぞれの国旗をちぎれんばかりに振って本気で応援しているのは野球の甲子園のようなものなのかな、とも思う。地元の子じゃなくてもいい、上手けりゃいい、楽しませてくれればいい。今年は39か国からの39組が予選で26組に絞られてのファイナルでスイスでは21時からの放映。大晦日の紅白歌合戦とちがうのは、歌が上手いのとバラエティに富んでいるのと変な余興がないのと、持ち時間が3分でどんどん進むこと。
歌披露は2時間で終わり、そのあとの約一時間が一般視聴者の電話&SMS投票(受付時間は40分以上はあったかなあ)。投票は自国の出場者への投票ができない、電話でもSMS送信でも発信元の国番号が識別されるので自国歌手へは投票できないのだ。狭いところにぎっしりと国が入ってるヨーロッパなので、隣国の友情票が~とか、歴史的にお友達な国なので互いに票を入れあうなどの関係性が複雑にかしましい。審査員でさえ純粋に音楽性に対してのみ投票するわけでもないらしい。各国に生中継でそれぞれの国の解説?者の副音声がつく。それがまた、オリンピックやサッカーの試合でもここまでは自国びいきじゃないだろうというくらい勝手なことを言って盛り上げる。
次の1時間は投票発表タイム。電話投票を集計する間、39か国39人の審査員の票を、一人ひとり発表していく。持ち点を「国」に振り分け、最大点数の12点をつける国を焦らして焦らして最後にジャジャジャン!と発表、この12点が加算される度に順位が入れ替わってこれまたギャーギャー。歌よりこの過程がメインなのだな。何しろ歌披露が2時間で投票と結果発表で一喜一憂する歌い手の表情をアップするという悪趣味?演出が2時間の合計4時間番組。
今回はスイスから出場の歌手が審査員票で一位!一般票でひっくり返されて3位(1位がイタリアの4人編成ロックバンド、2位がフランスのエディット・ピアフを彷彿させる女性歌手)と珍しく上位だったのでスイスのテレビ放送のコメンテーターのテンションがそれはそれは高かった。普段はラジオの人生相談番組で隠者のようにしゃべってる人が吠えまくってた。
Eurovision Song Contest 2021 Top 10
私は中学校の時に読んだ山本周五郎の「鼓くらべ」で「音楽はもっと美しいものです。音楽で競うのはおやめなさい」的な思想もあったので、前半のええもんを見さしてもらいました~が何故にいきなり国粋主義に???とびっくりしたが、この番組は国別対抗戦的な部分を楽しむものらしい。スイス代表の22歳の男性歌手は両親がアルバニアとコソボ出身のFribourg育ち、他の国の歌い手も難民としてやってきて的な経歴はザラ。でもテレビ視聴者の皆さんも会場の観客もマジで「自国」や「故国」の点数に一喜一憂・・・そうだったのか。来年は私もそうしよう。でも次回スイスの代表が善戦するのは何時になるのかしら。
露出度が高い衣装の女性歌手も多い。トルコは以前は出場していたがセクシーすぎると出場枠から辞退。同様にハンガリーは「ゲイすぎる」と辞退・・・
面白かったのはウクライナのブルガリアン・ヴォイス風+エレクトロ、統計的には優勝できないといわれる真っ黄色の服でディスコのリトアニア、脅迫も受けているらしい、ロシア代表だがタジク出身で女性の権利について歌ってる迫力ヴォイス、アイスランドのフォークロアファミリー(彼らはコロナ陽性が判明した故、練習時の録画での決勝参戦だがTOP10入り)。
それではまた来年!
Eurovision Song Contest 2021 Grand Final (4時間)
Eurovision公式サイト: