スイスにおける死と葬式と墓(9)知り合いが亡くなったと知ったら

家族葬にしたら、その後お線香をあげに訪れる人の応対に閉口した、という話を日本でそれなりに聞きます(真偽のほどは知らず)。

スイスの場合、仏壇や位牌が無いし、お線香をあげる習慣もない。ついでに言うと、日本のお墓にある名刺入れも見ない。位牌はないけど故人の写真とお花を飾ることはあるし、ロウソクを灯すというのは故人への思いを表現する行動。

では、知り合いまたは知り合いの身内が亡くなったことを知ったら?(葬儀に行かない場合)

一番簡単でお勧めなのはカードを書いて郵送すること。お悔み用のカードでも、無地でも花が描かれたのでも、不謹慎じゃない絵柄のものなら大抵OK。文面は定型句にサインだけでも大丈夫。何か一言書き添えられたら良いけれど、作文に自信が無ければ無理しなくても大丈夫。受け取った側から返事が来るかもしれないし、来ないかもしれない。次に会う機会があれば、カードのお礼を言われるかもしれないし、忘れられてるかもしれないけど、とりあえずカードでお悔みの気持ちを伝えるのが最善。新聞などに出ているお悔み欄にはほとんど必ず代表遺族の氏名住所が載っている。

カード以外では花を贈るのも一般的。新聞の死亡告知欄には「お花を送ってくださるお気持ちがおありの方は、花の代わりに○○への寄付をお願いします」と病院とか動物愛護団体などの口座番号が書いてあることもあるが、それは多くの人が花を贈るからでしょう。日本でも同じだけれど、交友関係の広い人だとお花が一時に大量に届いて迷惑なこともありうるけど。

義父が亡くなった時、義父が名付け親(後見人)になっていた義父の姪から、しばらく時間をおいてからお花が届いた。姪の父親が亡くなった時もこちらからお花を届けた。インターネットで届け先の近くにある花屋を探して電話して注文した。何なら好きな時にお花と交換できる、花屋の金券(引換券)を送るという手もある。花は菊などにこだわることなく、受け手の希望で「明るい感じで」とお願いした。私らが受け取ったのもチューリップやバラが入った仏壇ぽくない(仏壇の概念ないです)花束でした。

私たちは新聞に出した義父のお悔み広告と同じ文面をカードに印刷し、親戚などの知り合いに送付した(既に電話でお知らせした人も含めて)。場合によってはこの際に葬儀の日にちをお知らせして、葬儀時に会食を予定している場合はその出欠返事をお願いする。

知人から送られてきた、90代で亡くなられた御母堂のお悔み通知には、彼女の、なんと20歳頃の超笑顔の屈託のない写真!未来を見つめる眼差しだった。いいんだ、それで。私もそれでお願いしたい。あるかなあ、そういう写真。

Copyrighted Image

error: Content is protected !!
テキストのコピーはできません。