遺灰にしてしまえば葬儀、 埋葬はゆっくり日程を調整して行えるのは便利。日本のお別れの会+納骨式のようなものかな。義父の埋葬は亡くなってから2か月くらい後でした。
参列者は身内のみ。皆で昼食をとってから墓地へ。これもまた地域によって違うのだけど、町の中心にある教会に対し、教会と墓地が隣り合ってあることもあるし、墓地が教会から離れた町はずれにあることも。今回は町の中心の教会の敷地内に墓地があった。
既に20センチ四方、深さ60㎝くらいの穴が芝生面に掘ってあった。これもまた色々だろうけど、この墓地では事前に墓地スペースを購入したり予約するのではなく、埋葬される順に次々に横から詰めていく。つまり義父の右横には最近亡くなられて埋葬された方が入っていて、左側以降は空きスペースの芝生。お隣が誰になるかは神のみぞ知る!将来的には義母が義父と同じ区画に入る予定。壺だけなのでスペースは十分ある。
穴の横に遺灰の入った壺を下ろして待っていたところ牧師さん登場。定刻に、教会の鐘が5分間、義父のために鳴らされるのを聞く。鐘の後には牧師が義父の生涯について語る。昔はきっと牧師や神父が近隣住民の日常について把握していたのだろうが、義父が教会に通わなくなって久しく(しかし信仰心は常に持ち続けていた、しかしどういうわけだかスイスでは多くの人が教会に行かなくなっていったのだ)、牧師も義父と直接面識があったわけではないので義妹が事前に写真などを見せて義父について説明したそうである。
遺灰壺が穴に下ろされ土がかけられ、花の寄せ植え鉢が置かれると、再び鐘が鳴らされて終了(5分以上鳴っていた)。
牧師を含む一行は町のティールームに移動し、お茶とケーキで歓談して解散。牧師への心付けは無し!お茶や食事を一緒した際に牧師さんの分を払う程度がお礼。スイスにおいて、牧師や神父は公務員扱いで十分な報酬&住居を保障されている。それなのに、近年のスイスでは深刻な聖職者不足に悩まされており、現在、聖職者の多くはドイツ、フランス、ポーランドなど近隣諸国から働きに(定住しに)来ているという衝撃!教会についてはまた話が長くなるが、ほとんどの州ではクリスチャンだろうがなかろうが、我々の税金の中から教会等の維持費が払われている。よって教会がガラガラでもお構いなし、真冬の誰もいない教会に暖房がしっかり効いててもOKな状態があるわけだが・・・
義父の場合は出来る限り簡単に、との本人の生前の希望で簡単に済ませたが、埋葬の前に教会内でセレモニーを行うことも出来る。知り合いは遺灰壺を前に牧師の説教、プロを呼んでのフルートとバイオリン演奏、皆で合唱し、埋葬後は牧師を含む参列者20人で食事会を開いた。この場合はレストランの予約もあるので事前に出欠を確認する必要もあり、随分と前に連絡が来た。式での音楽は重要な要素で、そもそもヨーロッパでの音楽は教会のためにあった。昔はどの町の教会でも合唱団があって冠婚葬祭時に歌ってたのだろう。教会に通う人がとても少なくなり、聖職者の人員も不足がちでこれからの葬儀も変わっていくのだろうか。
土葬の場合は日本と同様の日程、数日内に行われる傾向がある(新聞の死亡欄を見るとそんな感じ)。
土葬の場合は参列者がお棺の中の故人と相対するからエンゼルケアとかエバーディングとか死後化粧とか何を着せるのか、など考えることは色々ありそう。義父は亡くなった時の服装のまま火葬場に運ばれたと思われるが、私が編んであげた毛糸の靴下をとても気に入っていて、意識が朦朧として実の娘のことが分からなくなってからも「○○(私の名)が編んでくれた靴下、とっても暖かいんだ」と寝る前は必ずその毛糸の靴下を所望。義父は私が編んだ靴下を履いて旅立っていった。それは泣ける。