♪おぉロジャー、貴方のお家は何処?
♪私のお家はスイッツァランドよ、湖水のキレイな所なのよ~ヤッホー(以下略)と歌ったかどうかは定かではないが、この数年来、テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー御大の建設中の新居についてもめていた。
スイスには「湖は公共の財産であり、湖岸へのアクセスは万人へ許可されるべき」という法律があるそうだ。現実には、法律制定以前に建てられたお屋敷なのだか、法律施行以降だけどそうなっているのか、私有地として一般人の立ち入りが禁止されている湖岸は少なくない(いや多い。州や湖によって違うだろうけど)。
以前、Via Francigenaでレマン湖畔を歩いた時も、お屋敷の垣根のすぐ横を通ることも、プライベートの船着き場が連続するところを通らせてくれるところもあったが、時折湖畔から離れ、車通りの多い道を歩く羽目になる箇所も多くあった。山並みを映す水辺は実に美しい。そんな場所に広々とした芝生のある家、すぐにでも自由に湖に漕ぎ出せる船とプライベートな船着き場。湖畔や湖を見下ろせる住居は高値。湖畔を独占出来たらなおさらのこと。
テニス選手を引退したフェデラー氏が建設中の住居はサンクトガレン州のRapperswil-Jona、チューリッヒ湖のほとり。1万7千平方メートルの敷地に6棟の建物だそうだ。そんな広大な更地(更地にした?)がまだあったのかーと感心したのも確かだが、新築するにあたって問題になったのは、前述した「すべての人に湖畔へのアクセスを!」の掟である。現実にはしばしば無視されている、あの法律である。これってフェデラーほどの有名人でなければ、そこまで広い敷地面積(湖岸距離)じゃなければ建築許可が出てたかもしれない。あそこまでの有名人だからプライバシーだとかセキュリティの面もあるだろう。一方で、フェデラーが(法律を曲げて)建てたのなら我も我も、となるかも、などの反対運動が起き、先日フェデラー側が建設予定(建設中)の船の格納庫は大きすぎるのでもっと小さい波止場にして、湖岸の自然復元命令が決定したとの報道。この先果たして一般人がフェデラー一家が庭でバーベキューしているのを眺めながら湖畔を歩く日が来るかは定かではないが(それはちょっとないだろう)、とりあえずの決着。
湖畔にたたずんだり歩いたり、スイスに住む人の間での湖に対する思い入れは相当なものがある。飲食店、無料のトイレ、ベンチが充実していることも多く、歩くに安心。
ちなみに、他の多くの湖での船が観光を主としているのに対し、チューリッヒ湖畔を運航する船では通勤通学客も多く、船の運賃が鉄道やバスと同様のゾーン料金の中に入っていて気軽に乗れる。チューリッヒ近郊に住む人がレマン湖の船に乗って料金に驚愕していた!
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