「Mais im Bundenhuus」の題名が掛詞になってます:Maisはドイツ語でトウモロコシ、加えてスイスドイツ語で(激しく)論争する(仏語ならbagarrerが近い)の意味があります。Bundenhuusはスイスドイツ語で連邦議会(国会)、標準ドイツ語ならBundenhaus。
2003年にJean-Stephane Bron氏監督で公開されたこの映画は、2001年に連邦議会で遺伝子組み換えについての論議に先んじた分科会での話し合いの様子、ではなく、非公開の分科会の部屋を出た廊下での参加者の会話と本議会での評決、議員たちのロビー活動の様子を撮ってます。トウモロコシは遺伝子組み換えが進んだ穀物の代表ということでの題名。題名を無理に訳すと「連邦議会で遺伝子組み換え作物をめぐってカンカンガクガク」
フランス語の題名はLe Génie helvétique。Génieには天才、技術などの意味があり、helvétiqueはスイスの、なのでSwiss Technologyのような意味となります。
2001年、20年前には議会の廊下でタバコ吸ってますね!スイスにきて駅のホームでタバコ吸ってるのに驚いた方も多いでしょうが、近年ようやく駅ホームも禁煙になりました。
スイス議会に対し外国人が思うこと。多言語の人々の間でどうやって議論するのか?分科会(映画では25人)ではどうなのかは知らないけど、本会議では同時通訳が付きます。それぞれの言葉で演説しますが、公式の場なのでスイスドイツ語ではなく標準ドイツ語です。映画では何人か(少数)が耳にイヤホンを当てていて、同時通訳を聞いてるのが映ってますが、多くはイヤホンなしなので、独仏聞き取れるのか聞く気がないか、です。ほら、演説聞いて判断するのではなく、党の方針やロビー活動の段階で既にどっちに投票するのか決まっているらしいというのはスイスでもそうです。
映画では分科会参加者、5つの党からの5人の議員に焦点を当てています。遺伝子組み換えに反対の緑の党と社会党、中道キリスト教党、それに右寄りと右派の2党。職業も16世紀から代々続く農家、近頃有機農法に変えた農家、元大学教授、遺伝子組み換え作物も扱うシンジェンタを傘下に持つ多国籍企業ノバルティスに勤めてた人・・・まんべんなくメンバーに入ってます。
元工学教授はベルギー出身で、フランス語圏のローザンヌの大学で教えていたので彼だけはドイツ語が不得手なようで、本会議中の演説中にイヤホンをしています。議決前にあちこちでロビー活動や立ち話で票の抱え込みに入りますが、その時は他の人が彼に対しフランス語で話してあげてますね。
20年前の撮影で今は少し変わっているかもしれませんが、コミュニケーションに誰も英語を用いていないです(少なくともカメラには映っていない)。
毎度思うけど、イタリア語とロマンシュ語は本当に少数派だなあ。
この映画もスイス国内限定だと思いますがPlay Suisseで見られます(2021年8月現在)