Via Gottardoはスイス北西端フランスとドイツとの国境の町Basel(バーゼル)から南端のイタリア国境のChiasso(キアッソ)までを結ぶハイキング道、全長320㎞のロングトレイルです。途中ゴッタルド峠(2091m)を越えます。スイスを縦断する数ある峠越えルートのうち、ゴッタルド峠はスイス人にとって魂の地なんだそうです。
地図を見てみましょう。Luzern(ルツェルン)までは比較的平坦な地を、LuzernからはVierwaldstättersee(独)=Lac des quatre cantons(仏)(四つの州の湖)は船で渡ります。
湖の反対側FluelenからしばらくAltdorfまではまだ平坦ですが、次第に迫ってくる山の間の道を歩くようになります。Fluelenからは20余年の歳月をかけて完成した新ゴッタルドトンネル、わずかに青函トンネルより長いんだよな、が2016年に完成し、鉄道で走り抜けられます。このトンネルが出来る前からある線路はWassenで線路クルクルを始めます。この線路を走る鉄道も健在です。GöschenenからAiroloまでは1881年に鉄道トンネルが、1980年に道路トンネルが開通しています。GöschenenからAndermattまでは連邦鉄道SBB/CFFではなく私鉄のGottard Bahnがラックレールでガシガシ上っていきます。
Hospentalからは鉄道から離れ、山道を登っていくと途中にUriとTicinoの州境があり、しばらく行くとGottardo峠に着きます。Gottardo峠は完全にTicino州の領域にあります。Uriではドイツ語、Ticinoではイタリア語が話されているので、峠と言語境界線は若干ずれているんですね。ここは山道とはいっても、物資輸送の道だったこともあって日本の箱根の山よりもずっと歩きやすい道だと思います。峠を降りるとAirolo、Biascaまでは山峡の道。Bellinzonaを過ぎると南の太陽を浴びたブドウ畑が見えてきて、Chiassoまではもう一息。この辺りは展望のある山々をつなぎ、リゾートだわ=
Via Gottardo、2012年から2014年にかけて歩きました。長いので、途中で別の話題を挟みつつ、イタリア国境までお付き合いください。なおこのゴッタルドはドイツ語(Gotthard)、フランス語(Gottard)、イタリア語(Gottardo)でスペルが違います。間違ってるわーとか言わないで。
繰り返して書いているように、北ヨーロッパからイタリアへ行こうとしたときに壁となって立ちふさがったのが今のスイスの山々でした。多くの峠が開かれていました。そのうち交通量が多かったのがこのGottardoと去年書いた、グラウビュンデン州を通る経路でした。峠までの道、平坦な部分は特定の道があったわけではありませんが今回ドイツからイタリアまでの大動脈、鉄道がとおる部分、BaselからChiassoを経由してミラノへ続く鉄道沿いをハイキング道として設定されました。バリエーションとして北東端の国境の町、Shaffhausenを起点とするバリエーションがあります。
なお、Gottardoを経由する道は19世紀終わりまでグラウビュンデンの峠経由と覇権を競ってましたが1882年にゴッタルドに鉄道が開通してからはアルプス越えルートの最も重要なものとなりました。
ちなみに、以前書いたVia Sbirinz、チーズを運んでスイスの酪農地帯で作られたSbrinzチーズを運んでイタリアに抜けた道もゴッタルドルートのすぐ西を通っています。
Via Gottardoの全容:このサイトから地図の印刷や交通機関へのリンクなどハイキングに必要な情報が充実してます
https://www.schweizmobil.ch/en/hiking-in-switzerland/routes/national-routes/route-07.html
Via Gottardoはスイスの文化・歴史の道の一つなので「歴史道」を集めたサイトにも記述がありますが、ドイツ語・イタリア語以外での記述は少なめ。
http://www.kulturwege-schweiz.ch/de/via-routen/viagottardo/impressionen.html
写真は2012年~2014年にかけて。そう、私が歩いたのはそれなりに昔のことで、変わっている部分もあると思いますが、ルートは書くときに確認しています。