Via Sbrinzは私(当時は40代後半・女)が全行程一人で歩きました。
日本でよく聞いていたのは、ヨーロッパはカップル文化の国だから、コンサートも食事も二人以上で行くのが普通で一人はつらいわよ~という話。確かに吉野家や松屋の類が無いので、一人メシはつらいです。特に田舎になると、パン屋もスーパーもないのでレストランで食べるしかない…選択の余地が少ない!
しかし食事時の孤独以外では、スイスのホテルにはシングル料金設定がある(ツインやダブルの部屋を一人で占有出来て半額までいかないとしても安くなる)ので一人でもそれほど割高感を味わわずに済みます。これはすごいことです。
ソロハイクはスイスのハイキングパンフレットでも決して推奨はしていません。事故に際してのリスクは高まります。でも現実には実に多くの人が一人で歩くことを楽しんでいますし、ハイキング道と言っても傾斜のきつい険しい道から犬を連れて散歩をする人でいっぱいの道まで、岩ゴロゴロからアスファルトまで様々です。危険度の少なそうな道を選べば、一人でも十分に歩けると思います。
誰もいない所を一人で歩くことが好き、ゾクゾクする、という方にはスイスのハイキング道は実によくできています。上を見れば人を寄せ付けなさそうな氷河と高い山だけど、自分が歩いているのは人が歩き続けてきた道であり、周囲は人の手が入った緑。頂上を目指すのではなく峠に向かう道、虚空ではなく人のいるところへとつながる道。
しかしもし貴方が日本において一人で歩いたことがないならば(それが山であれ街であれ)言葉が異なる外国となればそれなりの準備は必要かと思います。
ある程度人がいない所を一人で歩く場合、一番大切なのは事故にあわないこと、怪我をしないことです。不都合が生じたときの代替策を考えておきましょう。天候の悪化や体調不良の際、ハイキングを切り上げてどこでバスや鉄道に乗ることが出来るか?食事処やホテル、せめて人家はあるのか?これらを前もって知っておくことで不安はかなりの程度、軽減できます。
最終バスの時刻の確認、帰りの交通の乗り継ぎ調べも忘れずに。そのバスは土日も運行していますか?ハイキングの最終到着地が本数の少ないバスの発着地で最終バスの時刻までにつけるかどうか少しでも不安があるならば、逆向きに歩くことも検討しましょう。
集落と集落をつなぐ昔からの道歩きでは、山間の道や見通しのきかない森林内を歩く距離が長くなりがちです。そういった地味な道は人気(ひとけ)が無くて最初は不安ですが慣れてきます。むしろ気を張った方がいいのは雑多な人通りが多い都市での方でしょう。駅からホテルまでの間が、私は最も緊張しますね。スイスは他の国に比べると相当治安がいいとは言え、それでも着いたばかりの慣れない観光客を狙ったコソ泥の話はよく聞きます。人が発する強烈な「不安」な気持ちは何故か周囲に伝わります。駅からホテルまでの略図、住所、電話番号はスマホとは別に紙にメモっておきましょう。ホテルに着いたらゆっくりと休みましょう。
悪目立ちしないことも大事です。全般的にスイスは日本に比べると全くもっておしゃれじゃないです。着古した服でおいでください。ハイキングが目的でしたら特に。お金持ちだと思われなければ狙われる確率はずいぶん減ると思います。
下調べにより不安のかなりの部分が取り除けるのは前に書いた通りです。地図を用意して、どのような所を歩くのか大体の見当をつけておきましょう。市販のものでもWebからの印刷でも構いません。スマホに頼りすぎないように。圏外のことも多いです。
出発地の駅やバス停からどちらの方向にハイキング道は向かっているか予習しておきましょう。黄色の道標が駅の片側にしか設置されていないことも多々あります。反対側にいると探しても探してもない!・・・出だしの街中歩きが最も緊張する、大事な所です。
それでも間違ってしまったら、の対応策については後日お話しします。と、ここまで書いたところで安全に歩くための基本は何人で歩こうと同じではないか。
Web地図ともリンクしているハイキングサイトの使い方、スイスの交通網の時刻表等の調べ方についてはこのブログの以下のページも参考にしてください。2017年5月から7月にかけては基本的なテクニックを書いてます。
拙サイトのカテゴリー「歩き方」やタグの「歩き方の基本テクニック」を参考にしていただければ幸いです。
スイス交通網の時刻表調べサイト
http://fahrplan.sbb.ch/bin/query.exe/en?L=vs_b2b&HWAI=JS!ajax=yes!&
では次回からはVia Albula / Berninaを始めます!こちらも私が一人で歩いてます。長い距離なので、1か月位書いたらスイスの仕事事情、言語事情、住宅事情、馬のあれこれや日帰りハイクや麦の道などを挟む予定です。