ドイツ語圏スイスで生まれ育った生粋のスイス人によると、50年前はクリスマスのお菓子といえばチョコレート、シュトーレンとクリスマスのクッキーだったそうです。
シュトーレンはスーパーで大量生産品が山積みにされてます。賞味期限の記載はあっても製造年月日はないのでいつ作られたのかは不明ですが、去年の年末に買ったものには二か月以上先の期限の日付がありました。ものすごく日持ちがするお菓子です。クリスマスを待たずにバターを塗って朝食にすることも。ああカロリー。
このように今ではかなりぞんざいな扱いをされているシュトーレンに対し、クリスマス菓子の昨今の主役はイタリアからのパネトーネです。50年前はほとんど見られなかったそうですが、イタリア人の流入(その前もかなりの流入があったけど)とともに、ごく一般的になりました。1か月くらい前から店頭に巨大な箱が積み上がります。
そして昔からのシュトーレンが子供でも買える値段であるのに対し、パネトーネは本国イタリアの5~10倍くらいの値段になってしまっています。昔のスイスは本当に貧しくて慎ましかったそうですが、イタリア=美食=高級のイメージでガンガン売りこんでます。そういや昔はピザもイタリア語圏スイス以外では食べられていなかったとか。今はピザは一番手軽な外食じゃないでしょうか。
クリスマスが近づくと、知り合いや家族間でプレゼントが交換されます。何はともあれクリスマスクッキーは定番。クリスマスのクッキーはお手製ならばアイシングで模様を描いたジンジャークッキーや、三日月形のバニラキッフェルンが定番でしょうか。当然手作りが尊ばれるわけですが、そんなスキルも時間もない、という人のために、この時期には焼くだけでOKの生地がちゃんと売りだされます。
クッキーは種類はそれなりにあるのですが長期保存のためか、甘くて硬いのが多いです!無造作にかじって歯を傷めないように(歯科診療は保険対象外)注意が必要です。どうもクリスマスより大分前に大量に準備していた時代のレシピをそのまま踏襲しているようです。美味しいかどうかはともかく伝統重視だったひと昔前の日本のお節料理みたいなもんでしょうか。
もちろんクリスマスのお菓子にも地方独特のものがあります。私が好きなのはBricelet(ドイツ語ではBretzeli、Brätzeli)ブリスリ。小型のゴーフルの一種で、鉄製のワッフル型に生地を押し付け、模様をつけて薄く焼きます。今では市販品もあり年中出回っていますが、これだけは自分ちの配合で自宅で焼く、という人も多いです。
コメント
Briceletを調べていてこちらにたどり着きました。いろいろと詳しいご説明ありがとうございます!スイス生活初心者なので、他のページも拝読して勉強します!
読んでくださってありがとうございます!実は知り合い以外からの反響は初めてなのでとても嬉しいです。異国での生活は戸惑うことも多いかと思いますが、どうぞ楽しんでくださいね。